2月21日の全員協議会に於いて、小泉町長が”弁護射撃”を依頼した弁護士より、調査結果並びに見解の「報告書」というものが、町議会議長宛提出されている。

その報告書では、「小泉氏は、「ウッド・ジュニア・カレッジを卒業したことは事実であり、経歴に何らの詐称もないことが判明した。」としている。

眺めてみると、この報告書なるものが、なかなか興味深い。

◇◇◇「報告書」◇◇◇

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報告書を作成提出したのは、「あすなろ法律事務所」というところのようで、同法律事務所の4名の弁護士の連名での報告であるようだ。

実際の事実調査に当っては、「西村あさひ法律事務所」の新川麻弁護士(パートナー。東大法。ハーバード・ロースクール LLM http://www.jurists.co.jp/ja/attorney/0024.html)、を介して、米国大手法律事務所である、Hughes Hubbard & Reedの岡本弁護士(パートナー。東大法。York U.ロースクール LLB http://www.hugheshubbard.com/Yasuo-Okamoto/)、及びロビン・モリス氏に依頼したとある。

流れからして実際に主として調査を行ったのは、ロビン・モリス氏(名からして女史であろう)であろうが、同女史はHughes Hubbard & Reedの弁護士リストに該当名は無く、弁護士とも書いていないので弁護士ではないと思われる。 記述からするとHughes Hubbard & Reedの職員なのであろうが、どのような方なのかはわからない。

もちろん、弁護士が自身で全てを調査するというものではないだろうし、基礎的な調査などはパラ・リーガル等が調べ、弁護士はそれをレビューすることで問題はないであろう。 経験豊かな弁護士の名に等しいプロフェッショナルなレビューの仕事が為されていればの話であるが・・・

第1 調査結果

第1の1項はウッド・ジュニア・カレッジについての概要であり、本題とは直接の関係は無いのだが、「大学委員会の認定」という和訳は今ひとつ解り難い。

認定は、「The Southern Association of Colleges and Schools」(http://www.sacs.org/)という認定団体が行っており、大学等の認定審査を行っているのがCommission on Collegesという該認定団体の部門である。

認定されていたことを強調するばかりでなく、2002年に認定を失い、翌年廃校に至ったという事実は、明確に記しておくべきであろう。

第1の2、「小泉氏は卒業している」としている件の根拠だが、

卒業証書は兎も角としても、卒業式典の栞(プログラム)を卒業の証の”その(1)”として先ず挙げるというのは、そこに名前が載っているにしても、普通にはあまりしないことだろう。 そのようなものは、補助資料とはなっても、確たる卒業の証とは考えられないからだ。

あすなろ法律事務所では違うのかも知れないが、一般の会社なりで、学卒採用者などが、「卒業式の栞」を「ぼくの卒業の証明書である」として人事部に提出しても、これはなかなか受け取ってもらうのは難しいのを想像すれば解るだろうか。

(2)卒業証書については、小泉氏がかねてから米国短大卒業の証として公示していたものだが、学位記である卒業証書にある、「Associate of Applied Arts」との学位は、該短大での存在が疑問視されるものであるが、この点への言及が一切無いというのはどうしたことだろうか。

小泉氏は卒業しており、卒業証書も本物だとするならば、記載されている学位についても存在していたことになるわけだが、どうゆう調査、理解の上での事なのか説明を求めたいところ。

そして、(3)の成績証明書だが、報告書はこの点の調査に於いて、初歩的、且つ決定的なミスを犯してしまっている。

小泉氏の成績証明書は、一見して、誤記、修正が多く、集計数字にも差異が生じてしまっているものである。

このような場合には、内容を個別仔細に検証する必要が当然生じるわけだが、報告書は、累計合計(CUMULATIVE TOTALS、 HRS EARNED)として記載がある65という数字を其の儘取り上げており、履修学科、単位、単位集計等の内容を検証した形跡は全く窺えない。

仔細に検証すれば、小泉氏の取得単位数は卒業に必要とされる64単位に足りてはいない。

これは大学案内(Catalog)などを少し調べれば直ぐ解ることであり、正式の教育記録である成績証明書という最も重要なところであり、報告書通りとすれば経験豊かな弁護士が何人も関わっている筈であり、レビューの機会が幾度もあった筈であるにも拘らずである。 大失態と言ってよい。

尚細かな事だが、累加平均は2.65でなく、2.66であるように見えるが? そうであれば小泉氏本人も少しは喜ぶだろうか。

4.0スケールでのことだろうから、いずれにせよ成績は悪いわけだが、却って信憑性は高くなるというものだろうか。

第2 あすなろ法律事務所としての見解

第2-1、米国大手法律事務所Hughes Hubbard & Reedの調査によるものだから、その信用度は極めて高い。としているが、今回の報告書については、とてもそうとは言えないようだ。

Hughes Hubbard & Reedのような名の通った法律事務所が、この問題のキーポイントとなる成績証明書のレビューに於いて、このような初歩的且つ決定的なミスを犯すことは一寸と考えられないところだが、幾つもの弁護士事務所や弁護士を経由するなかで、コーデネーションやコミュニケーションに何か問題があった可能性が高いだろうか。

名前や判子ばかりは連ねているが、結局は名ばかりの無責任の連鎖で、このような悪い見本みたいな報告書になったものだろうが、要はこれを取り纏めていた弁護士の資質の問題というところになるだろうか。

第2-2、卒業を証明するとする資料だが、(1)卒業証明書や(2)成績証明書の問題点については上記の通り。

(3)卒業や在学中のアルバムは、本人にとって貴重な思い出ではあろうが、それが成績証明書といった正式の教育記録に優先するものではないであろう。

(4)卒業式の栞(式典プログラム)についても既述。 誰から入手しようとよいのだが、「このプログラムはウッド・カレッジの理事の代理人弁護士から入手したもの」とあるのだが、既に廃校になっている筈のウッド・カレッジの理事?の代理人弁護士?というのが現在居るのだろうか? ふとした疑問。

「以上から、小泉氏は、「ウッド・ジュニア・カレッジを卒業したことは事実であり、経歴に何らの詐称もないことが判明した」としているが、何がどう判明したと言うのだろうか?

卒業証書などを示して小泉氏が卒業を主張していることと、正式な教育記録である成績証明書での記載とには、卒業や学位の有無について相容れない事実があるわけだが、該報告書は小泉氏同様に卒業を単に主張しているのみで、納得できる明確な根拠の説明を欠いている。

卒業の事実が確認され、何らの詐称もないことが判明したどころか、該報告書からは増々疑惑が膨らむ結果となっていよう。

3 その他

(1)に於いて、オレゴン州ODA(Office of Degree Authorization)の存在についてよく解らないというのは、個々人の知識や調査力の問題であるから仕方ないとして、情報の提供ということであるが、州の機関が他州などの州外機関と、情報の交換や提供を行うというのは日常的に行われていることであり、これは、州の官吏が他州など州外に於いてその権限を行使するという事とは違うことであろう。

近年は増々頻繁になる傾向にあるようだが、情報の交換・提供の必要性というのは、州税や犯罪について考えればその重要性というのが解るだろうか。

オレゴン州の教育関係の官吏がミシシッピー州の教育機関に卒業生の学位について問い合わせを行ってはいけない、とする話や法律というのは聞いた事がない。

教育記録の記載に関してであるが、成績証明書なども書式は各教育機関で多少違っているようだし、一枚でなくとも別紙とかに記録があっても良いのだろうが、入学、卒業、学位等の教育の記録自体は記載管理が必要なものであろう。

記入漏れなども有り得ることだろうし、最終的には、該報告書にもある通り、成績証明書の中身から履修単位数をはじめ、学位取得・卒業に必要な要件を満たしているか否かを検証することで、卒業の有無が明確になるところだろう。

今回提出された小泉氏の成績証明書を検証すれば、学位取得・卒業は否定されることとなる。

「アレン・コントレラス氏の報告には、ウッド・ジュニア・カレッジの卒業要件という最も重要な要素についての調査結果が欠落しており、したがて、その解答の信用性は極めて疑問である。」としているのだが、考えて見て欲しい。

オレゴン州ODAのコントレラス氏が、小泉氏の教育記録を管理するMillsaps College(ミルサップス大学)に問い合わせた時点では、小泉氏の成績証明書は未だ提出されていない。

小泉氏の成績証明書自体は見れないわけであり、必要単位数等の卒業要件を語ったところで、意味は持たない。

小泉氏の成績証明書原簿の管理者であるMillsaps Collegeよりの回答を疑問とすること自体が、極めて疑問である。

3-(2)「アメリカの調査について、疑義があれば同弁護士らが答えることになっている」とあるのだが、当件の調査の対象は米国でのことであろうし、質問があれば米国のHughes Hubbard & Reedの岡本パートナーらに聞けということだろうか? 報告書自体は、あすなろ法律事務所の4名の弁護士の連名となっており、該報告書への質問などは一体誰に問い合わせればよいのか?判然としないところがある。 そうゆう習いなのだろうか。

第3 公職選挙法違反の罪責の有無について

「虚偽の事項を公にした事実はない」とのことのようだが、立候補者の、学歴を含む経歴というのは選挙人にとって大きな判断要素の一つだろうし、立候補者の経歴を全く公にしない選挙があるとも思えないが、2009年9月の志賀町長選挙に立ち会っていたわけではないので、実態は私には解らない。

こうゆう記事もネット上にあったので、「米国ウッドジュニアカレッジ卒」というのはやはり何らかの形で公にされていたろうか。

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■志賀町長選挙(石川県) 談合事件で自殺図った現職に新人2氏が挑む(「ザ・選挙」編集部2009/09/03)

 任期満了に伴う志賀町長選は1日告示され、再選を目指す現職の細川義雄氏(76)、新人で元県議の小泉勝氏(43)、新人で市民団体「オンブズマン志賀」代表幹事の西孝夫氏(61)の3人が立候補した。いずれも無所属。

 志賀町では2007年、町発注の公共工事を巡る談合事件が摘発され、県警の事情聴取を受けた細川町長は自宅で睡眠薬を飲んで自殺を図って長期入院、辞意を漏らした時期もあった。それだけに、現職の再出馬に対する批判と町政の継続が町長選の焦点となり、告示前から怪文書が飛び交う激しい争いが展開されている。

 細川義雄氏は、羽咋高卒、不動産会社長。旧志賀町議・議長を経て1990年から旧志賀町長を4期15年務めた。合併後の05年、無投票で初代町長に当選した。原発推進の立場。

 小泉勝氏は、米国ウッドジュニアカレッジ卒、石油販売業。旧志賀町議1期を経て2003年県議選(羽咋郡北部選挙区)に自民党現職を破って当選。07年には落選した。

 西孝夫氏は、志賀中卒、1991年から野々市町議2期、07年に志賀町議選に立候補したが落選した。「オンブズマン志賀」代表幹事として、志賀町の談合事件を告発している。

 志賀町は能登半島の中央に位置し、北陸電力の志賀原子力発電所があることで知られる。2005年9月、志賀町と富来町の旧2町が新設合併して誕生した。

http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_flash/0909/0909060830/1.php

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こうして眺めたところでは、珍しいほどに調査に深みが無く、内容に乏しく、「報告書」と呼べるようなものではないようだが、町議会議長がこれを突き返すというのも角が立ちそうであるし、この報告書で高額の弁護士費用を請求されるとしたら、小泉氏も気の毒と言うものだろう。 プロフェッショナルな弁護士という職種や名前が出てくる法律事務所の信用にも関わってくる話であろうし、自主的にこれをいったん回収して、仔細に調査し直したうえで、改めて報告書を再提出されることをお薦めしておきたい。