3月3日付けの下野新聞ウェブ版によれば、タイケン学園が栃木県さくら市に開設を予定していたスポーツ系大学に関して、タイケン側が求めていた旧喜連川高校跡地の所有権の移転などを3月中には出来ない旨、市が同法人に伝えていたとのことである。(下記引用ーA)

タイケンは、(1)旧喜連川高校跡地の土地・建物の無償譲渡、(2)さくら市よりの2億円の施設整備費補助金、(3)閉校する金鹿小学校の無償貸与、などを得て、定員1000人というスポーツ系大学を2011年4月に同市に開設する計画であったようだ。(下記引用ーB)

去る2月19日に、さくら市議会がタイケン学園の柴岡三千夫理事長を招き、当件に関しての柴岡理事長の説明をはじめて聞いたとあるが、議会が事前に提示していた4項目の質問には、同理事長は正面から答えなかったのだという。(下記引用ーC)

さくら市議員全員協議会での柴岡三千夫理事長の説明は、スポーツ系専門学校の運営実績などの披瀝に終始したようで、自らに都合の悪いであろう質問には答えずに”スルー”し、新設のスポーツ系大学の来年4月の開校に向け、さくら市側の決断を急がせる、という姿勢が窺えて、些か興味深い。

さくら市の資産はさくら市民のものであり、その資産の使途・処分は、もとよりさくら市民が決めることだろうが、旧県立喜連川高校跡地についてはこれは栃木県の資産であるようで、これをさくら市が県より無償譲渡を受け、更にタイケンに無償譲渡するという話のようであり、これはさくら市民のみならず、栃木県民の資産となるのだろう。 さくら市には仲介者としての責も生じるというところだろうか。

日本は少子化が叫ばれて久しいわけだが、進学人口の停滞で、下手な学部や大学は淘汰される時代であり、”大学倒産時代”が来るのだといい、地方自治体に於いても”町興し”の施策は真剣に考えていかねばならないが、かといって下手なことをすれば”自治体財政破綻”の憂き目を見かねない時代である。

”こまけぇこたぁいいんだよ!”、”行け行け、ドンドン”と言った右肩上がりの時代ではないので、”渡る石橋は叩いてみる”必要があるわけだが。

”タイケン学園グループ”と言うのは、専門学校などの他に、NPO法人、株式会社など、20ほどの小規模法人から成るようである(http://www.taiken.ac.jp/about.html)、企業グループであれば、一般にはグループ内での取引と言うのがあるだろうし、グループの”司令塔”が一つであれば、資産や負債のグループ内でのトランスファー(移転)も容易であるだろう。

財務状況ひとつにしても、グループ内の一法人の単体財務諸表を見ただけでは解らないので、グループ関連取引について少なくとも確認する必要が生じるわけだが、関連法人がこれだけあり、規模が小さく、独立した会計監査法人による監査などと言ったことも無かったりすると、これは中々容易なことではあるまい。

「何をするにしても、先ずは人である。」

と言うことになるが、大学で教授の職にある者などが、実態の無い海外の”大学”の”Ph.D-博士号”といった名称を用いて問題になっていたわけだが、公の認可を受ける私立学校を運営する、公共性のきわめて高い学校法人の理事長である者が、”タイケン・ウイルミントン大学”などと言った実態の無い米国の大学を偽装し、価値の無い”学位”発行の元締めだったというのでは、論外の行為であろう。

学位や教育と言った学校法人の根幹に関わることであり、ひとり柴岡三千夫理事長個人の問題に終らず、私立学校全体への社会的信頼を損なう行為といえようか。

タイケン学園の柴岡三千夫理事長が、”タイケン・ウイルミントン大学”などと言った学位商法に関わっていた疑惑についての新聞等での報道は一切見ないようだが、「学位商法ーディプロマ・ミル」というのは新しい問題だけに、当のさくら市民やさくら市議会が、この問題についてどの程度知っているのか?は些か気になるところである。

さくら市と言うのは、人口4万3千人ほどの住みやすそうな地方都市のようであるが、”若い人が集まる学園都市の夢”がある反面、下手に誤って踏み出せば、”奈落に落ちて気が付けば、悪夢!”にもなりかねないというところだろうか。

◇◇◇引用A-下野新聞2010年3月3日ー

さくら・旧喜連川高跡地 来春の大学開校断念 誘致、市議会で賛否

(3月3日 05:00)

学校法人タイケン学園(東京都板橋区)がさくら市の旧喜連川高跡地に進めているスポーツ系の4年制大学進出計画について、同法人と誘致に向け協議しているさくら市が、法人側に3月中に跡地の所有権を移転することができない、と文書で伝えていたことが2日分かった。これにより法人側が3月中に大学設置申請を行うことは困難になり、来年4月の開校を断念した。協議を継続するか白紙に戻すのか、市の判断に注目が集まりそうだ。

法人側は、跡地の土地、建物の無償譲渡や施設整備費2億円の補助を市に求めており、議論の焦点となっている。所有権が移転できない背景には、市民や市議会の理解が十分得られていない現段階では、跡地を県から市へ無償譲渡する手続きが進んでいないことがある。

市側は、市民・有識者による跡地施設利活用検討委員会や喜連川地区の行政区長会に説明。市議会は2月に法人の柴岡三千夫理事長らを招いて説明を受けたが、運営方策など議会側の質問に明確な答えが得られず、意見を取りまとめるに至っていない。

人見健次さくら市長は取材に対し「市民、議会の中にも誘致賛成と慎重論があり、さらに協議しなければならない。本年度中に結論を出すことは難しい」とした。

同法人の柴岡信一郎副理事長は「今回の一件で白紙に戻すことはないが、仮に開校を1年延ばした場合、確実に大丈夫なのか。市の態度がはっきりしない中では『検討している』としか言えない」と話した。

同法人は東京を中心にスポーツ専門学校など6つの専門学校を経営。新設大学は、マネジメントを学び、生涯スポーツのコーディネーターなどを養成する4年生で定員1千人の計画。

http://www.shimotsuke.co.jp/town/region/central/sakura/news/20100302/290090

◇◇◇

◇◇◇引用B-下野新聞2009年11月21日ー

旧喜連川高跡地にスポーツ系大学誘致へ 11年春の開校計画 さくら市、議会に説明

(2009年11月21日 05:00)

旧県立喜連川高跡地の利活用策としてさくら市が、東京の学校法人が新設を予定するスポーツ系大学の誘致に向け協議を進めていることが、20日分かった。同市は今後、施設整備など支援の在り方などについて市民の意見を聴きながら県、市議会とも協議し、誘致を実現させたい考えだ。

同市は、同日開かれた市議会議員全員協議会(全協)で概要を説明した。

市によると、交渉を進めているのは学校法人タイケン学園(東京都板橋区)で、東京を中心にスポーツ専門学校など六つの専門学校を経営。グループ校などとして高校や幼少年体育振興協会がある。新設大学は、マネジメントを学び、生涯スポーツのコーディネーターなどを養成する4年制で定員1千人。2011年4月の開校を目指している。

進出に際して同法人は(1)土地・建物の無償譲渡(2)学生寮に利用するため、閉校する同市金鹿小の無償貸与(3)施設整備費2億円補助-の支援を同市に要望している。

少子化などの影響で大学の経営は厳しくなっているが、同市は、全国的に体育学部の定員充足率が高いことや同法人の財務状況、地域振興、経済効果などを勘案し、誘致を図りたい考えだ。

今後協議が順調に行けば住民説明を経て県への廃校跡地利活用計画書提出、県から市への施設の無償譲渡、市議会の議決、大学設置申請-の手続きが進められることになる。この日の全協では市議から「投資額などが不明。議会としてしっかり議論していくべきだ」など慎重論も出された。

同法人の柴岡信一郎副理事長は「地域と連携し、ほかにはない大学をつくっていきたい」と話す。県教委は「県としては全くニュートラル(中立)。計画書が出た段階で、庁内で検討したい」としている。

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/politics/news/20091120/238142

◇◇◇

◇◇◇引用C-下野新聞2010年2月20日

大学誘致で理事長説明 さくら市議会

(2月20日 05:00)

【さくら】旧喜連川高跡地の利活用策として、市がスポーツ系の大学誘致へ向けて東京の学校法人タイケン学園と協議していることを受け、市議会は19日、同法人の柴岡三千夫理事長らを初めて招き、運営の考え方など説明を受けた。

説明は、非公開の議員全員協議会で行われた。手塚定議長らによると、柴岡理事長は専門学校などの経営実績を披歴し、「さくら市は東京から離れているが、(スポーツ系の)学生は指導者を求めてくる」と学生確保に自信を見せた。その上で「3月の文部科学省への大学設置申請に向けて準備を進めている。市議会の議決があれば受け付けてもらえる」と訴えた。

ただ、(1)安定した大学運営の方策(2)万が一撤退する場合に用地をどう取り扱うか-など議会が事前に提出していた4項目の質問には正面から答えなかったという。

市議からは「執行部の考え、市長の意思をきちんと聞きたい」「決断の時期に来ている」との声が上がった。

手塚議長は「理事長が(事前の質問に)答えないのはどういう趣旨なのか。理事長の持論を聞いたということ。議論がかみ合わず、議会として取りまとめるまでいかなかった」と話した

http://www.shimotsuke.co.jp/town/region/central/sakura/news/20100220/285288

◇◇◇