ハワイ州に於いては、州法に規定された一定のルールを守れば、連邦教育省が認めた認定団体による認定を受けていない”大学”であっても、非認定の高等教育の学位発行機関として限定された学位を発行することは可能なのであるから、イオンドは何故学位発行の法的根拠を保持する努力を惜しんだのか?とも思うのだが。

州法規定のひとつに、ハワイ州内に一人以上の従業員を雇用した事務所を有する事というのがあり、イオンドも一時はホノルルの雑居ビルの一室を借り、中野幾雄が見つけてきたというバーテンダーの女性を従業員として”大学事務所”を構え、”ハワイ事務所”名義の又貸しや、果てはハワイでの”宿泊場所”としての提供を図っていたことはあったが、肝心の現地学生募集に本格的な努力を注いだ形跡は窺えない。

(株)INOD University(日本)の代表取締役だった高橋斎は、元陸上自衛隊2尉で、”情報将校”だったのだという話であるが、イオンドが”IOND University”名の法人をハワイ州に登記した1999年に、ハワイ州当局が近年の学位商法による弊害を認識し、非認定校に関する当該州法規制が強化されたというのも、何かしら間が抜けていて笑えるが、

@学科課程で25人以上のハワイ在住の学生を持つこと。

@法学・医学関係の学位発行は不可なこと。

@「非認定校であり、発行学位は社会で通用しない事がある」旨の表示が要求されていること。

などを考えると、州法を遵守していたのでは「商売にならない」との思いがあったものだろうか。

ハワイ州の非認定校として、内外のUFO研究の同好の士でも集めて、俺はUFO博士、おまえはUFOマスターと、内輪の学位で満足するといった性格のものでは無かったということだろう。

イオンドのサイトを眺めると、300名程の日本人教授陣が名を連ねているが、学生数を上回る教授数だろうか。(http://www.iond-univ.org/professor/index.html

名前がそこには載っていない”登録教授”も多いだろうし、学生を持った場合には報酬を払うといった”歩合給”システムのようであり、名前だけ使われている人もいるようだ。

”イオンド大学名誉博士号”を頻発し、見返りとして”寄附金”を集めていたようだが、寄附金であれば、普通はその性格上、寄附金額は公開し、こういった事業の使途に使われている等報告するであろうが、イオンドの場合そういった情報開示は見たことが無い。

寄附金集めの対象となったのは、事業に成功した中小企業経営の高齢者等の、こういった問題の所謂情報弱者に該当する方が多いのだろうし、中にはホンモノの米国大学からの名誉と信じて、町役場に報告に行った方もおられたようだ。

何の実体も無い”米国の大学”であったことは、当事者のイオンド自身が一番良く知っていたであろうし、こういった詐欺的行為の社会的問題は決して小さい事ではないと思うのだが。

それにしても、全く実体の存在しないものを、”何の問題も無いハワイ州の米国大学”と押し通すイオンドの厚顔無恥ぶりは見事だが、それくらい病的に面の皮が厚くなければ他人など騙せないというところか。

米国での認定団体による認定を受けていない大学等の高等教育機関だが、その質に保障が無いわけであり、奨学金や単位の互換に障害を生じるだろうし、社会の評価も得られないから、余程特殊な事情でも無い限り、高等教育機関は普通は認定を取得するだろう。

非認定校の学位を米国社会で使用することについては、Oregon, Michigan, Maine, North Dakota, New Jersey, Washington, Nevada, Illinois, Indiana, Texasなどは法での規制があるといい、民事訴訟などは何処でも可能性があるから、米国社会で非認定の学位を使用して就職や昇進、金銭的な享受を得る行為はかなりなリスクを伴うだろう。

The Regulation of Post-Secondary Degree Granting Institutions in the State of Hawaii

http://hawaii.gov/dcca/ocp/udgi/regulation?searchterm=diploma+mill

ハワイ州法446E

http://www.capitol.hawaii.gov/hrscurrent/vol10_ch0436-0474/hrs0446e/hrs_0446e-.htm

Educational accreditation-Wikipedia

http://en.wikipedia.org/wiki/Educational_accreditation#Unaccredited_institutions