平和神軍観察会・逝き逝きて平和神軍」のサイトに、東京地裁での刑事第一審判決文の一部が引用されている。

http://es.geocities.com/dempauyo/

法廷審理の過程で明らかになった黒須英治(別名:中杉弘)とグロービートジャパン社間の金銭的な関わりの詳細が出ている。

同社から、設立当時には400万円程度、

第7期(平成11年10月から平成12年9月)に4050万円、

第8期(平成12年10月から平成13年9月)に6357万円、

第9期(平成13年10月から平成14年9月)に5903万4336円、

第10期(平成14年10月から平成15年9月)に2870万0509円、

第11期(平成15年10月から平成16年9月)に2973万3944円

をそれぞれ配当代わりに受領した。」

他人が幾ら取っていようが別段どうでもよいのだが、問題は支払い金銭のその性質だろう。

配当がわりに」との言い方であるから、「配当では無い」と言うことになるだろうが、確かにグロービートジャパン社資本金1000万円の51%(510万円)の出資にしては株式配当としては金額が大きいようだ。

株式配当金は企業の留保利益の取り崩しだろうから理論的には有り得るとしても、株式配当としては現実的な金額ではないだろう。

株式配当であれば、黒須英治以外の他の株主に対しても同様な配当が為されていなければならない筈であるが、「株式配当はしていない」との法廷証言であり、そうゆう事実も無いようだ。(http://sdseminar.exblog.jp/2608465

2月27日(2007年?)の法廷での証人尋問で、グロービートジャパン社社長の黒須伸一(別名:北条晋一)は、実父である黒須英治への上記支払い金について、「出資してもらった英治氏に対する株式配当のやりかたがわからず、「配当の代わりに給料という形にした」」との証言なので、判決文では「配当がわりに」と言う表現になったものと思われる。(http://sdseminar.exblog.jp/2875456

黒須伸一社長の法廷証言に拠れば、グロービートジャパン社は黒須英治への上記支払金は「給与」として経理処理していたと言うことになるが、黒須英治は自称で会長と名乗ることはあっても、グロービートジャパン社の役員では無く、勤務実態も雇用契約も無いようであり、同社の社員やアルバイトでも無いようだ。

実態よりすれば、労働に対する対価である「給与」として経理処理しているのは疑問のあるところだろう。

雇用関係の無い「社外の人間への支払い」となるのだろうから「給与」というバカな話はないわけで、「贈与」とか、或は黒須英治がその主宰する正理会とか日本平和神軍(現JPNA?)とかの団体の代表者と捉えるなら、「寄付金」と言ったところが妥当ではなかろうか? 経理処理や税務も変わってくる可能性があるだろう。

黒須英治は、「現在は「グロービートジャパン社以外からの収入は殆ど無い」と答えています。」とのことであり(上掲傍聴記)、金額からいってもグロービートジャパン社からの「配当がわり」の給付金が収入の主体なのだろうし、それが”イオンド大学”といった、違法性が高く社会的問題が大きい、国際的な摩擦まで惹き起している、いかがわしい事業の原資ともなっていたものだろう。

労働の対価の給与であれば、後は何に使おうが受給者個人の問題になるだろうが、「贈与」や「寄付金」と言った類の場合には、支払う会社の姿勢も問われるだろうか。

違法性が高く、社会的問題のある使途であることを知っていて、”経済的支援”を行なっていたとすれば、企業としての社会性が問われるだろう。

グロービートジャパン社と言うのは、全国に218店ほどのフランチャイズのらあめん店を展開しているとのことだが、個人経営店が多いであろうラーメン業界としては大手になるのだろうし、お客というのも当然一般大衆になるのだろう。

http://www.globeat.jp/company/index.html

フランチャイズというのは、各店舗其々法人としては独立した経営だろうが、メニューや調理については本部指示通りで勝手に変えることは出来ないのだろうし、従って食材の仕入れ先も選択の余地は無いだろうし、業務の実態は経営者というよりはむしろ従業員に近い。

フランチャイズ店舗はその損益に係わらず、売り上げの一定割合の「ロイヤリティー」を本部へ支払うわけだが、各フランチャイズ店舗は利益確保に相当な努力をしているのだろうし、楽ではない筈。

グロービートジャパン社の展開する店舗の大部はフランチャイズ店と思われるが、これだけの規模であれば企業としの社会性は小さくはないであろう。

グロービート・ジャパンの代表取締役は、上記第2の1で認定したとおり、黒須英治の長男である黒須伸一と娘婿である靏見嘉弘であるが、その他の取締役は黒須英治の二男黒須直治及び三男黒須博史で、監査役は、黒須英治がかつて代表取締役を務めていた日経企画の取締役の見目嚴であった。(一審判決文)」

という、役員が親族関係にあるグロービートジャパン社が親族の黒須英治に支払っていた金銭の社会的妥当性であるが、米国などで所謂「Arm's length transaction 」といわれる問題だろうが、仮に黒須英治の立場にいるのが全く血縁関係のない者だった場合に、同じ経済的処遇が為されたか?を考えてみれば判るだろうか。

親族であることで特別な経済的処遇を受けていたのであれば、「一定の関係」か「ずぶずぶの関係」か表現は兎も角として、それは特別な関係にあったということになる。

”イオンド大学”や”日本平和神軍”などといった、社会的問題が多い黒須英治の活動を、親族であるグロービートジャパン社の役員はどの程度認識し、関わっていたのか?という事もあるだろうか。

”イオンド大学”ハワイ校であるIOND Universityの設立時の役員(Director)には、「Naoharu Kurosu」の名が見える。(Articles of incorporation- http://www.geocities.com/tillamook21/IONDDocument.htm

”イオンド大学日本校”のかつての教授リストには、「鶴見 嘉弘 教授 経営学 サミット大学M.B.A修了 」の名があったと言う。(鶴見嘉弘の実名は靏見嘉弘)(http://web.archive.org/web/20000523174436/www.iond-univ.org/professor/index.html

ちなみに、この”サミット大学”と言うディプロマ・ミルの”学位”だが、法廷傍聴記では、「英治氏は対外的に「中杉弘博士」と名乗る事があります。SUL(Summit University of Louisiana)から博士号を取得していますが、これは「5~60万円くらいで貰った」と答えています。「仏教に関する著作が多く、その功績が認められた為、授与された」とも答えています。また、伸一氏と鶴見氏も英治氏の紹介でSULのMBAを取得しています」とのことである。(http://sdseminar.exblog.jp/

黒須英治が主宰していたという”日本平和神軍”(現JPNA?)と言うのも、ワケの解らない団体であるが。

”精神の軍隊”、”非暴力・合法活動”を謳うが、「しかし、我らを暴力をもって威嚇または攻撃する敵に対しては武闘はおこないます。あくまで、合法の範囲内でいつもかんがえております。正義は戦わなければ得られないからです。我々の総力で不正暴力には徹底的に対抗します。それは日本精神の表れでもあるからです。

合法的な戦いとはペンキ入り放水・火炎放射器・ガソリン散布・110番・大音響マイク・セコム体制木刀・弓・生け捕り網・木銃・鳥もち・目潰し・などです。ねずみとり、はしご・そでがらみ・盾・まだまだあります。云えないものもあります」(http://web.archive.org/web/20001025085709/www.jade.dti.ne.jp/~shingun/nyumon/enter.html

等とも言っている。

相手が「我らを暴力をもって威嚇または攻撃する敵」であると判断を下すのは平和神軍自身(総統中杉弘元帥のツルの一声?)なのだろうから、なかなか危険な臭いのする物騒な話ではある。

平和神軍観察会裁判の刑事第一審での22回に亘ったという法廷審理を通して、グロービートジャパン社、平和神軍、正理会、イオンド大学などの組織が、さながら黒須英治を扇の要として繋がっているさまが看て取れるが、給与処理の問題や金額は誰が提案し決定するのか?グロービートジャパン社のこの問題への意思決定の黒須英治の関与の実態等、いまひとつ突っ込んで関係を明らかにしてほしいところも感じる。

第二審の高裁の法廷審理は、1回開催されただけだったそうだが、判決文も見れないので何とも言えないのだが、高裁裁判長の視点は些か違うところにあったとも思われ、残念な印象を受けるところである。