ハワイ州のOCP(消費者保護局)が「IOND UNIVERSITY」をディプロマミルだとして起訴した裁判の件だが、新しい動きがあったようだ。
http://hawaii.gov/dcca/areas/ocp/udgi/lawsuits/ionduniversity/
2007年9月7日付け訴状に追補修正が為されており、イオンドのニセ大学としての行状が今回詳細に明示されているのは、なかなか圧巻である。
ハワイ州ホノルル市にある(筈の)”イオンド大学”の州機関へのRegistered Agent(登録代理人・申請者)であるIKUO NAKANO(中野幾雄)が被告人としてIOND Universityと共に今回明記されており、当人に対して、SUMMONS(召喚令状)が2008年6月26日付けで発行されている。
日本語訳が付いているのがたいへん有難い。
以下ざっと見て興味深かったところ
4項にイオンドの名称変更の歴史が出ている
1999年4月12日登録時、「IOND University」。
2002年11月6日、「Diamond Head University」に名称変更。
2002年12月12日、「Hawaii IOND University」。
2003年3月14日、最初の「IOND University」に名称を戻している。
イオンドは、如何なる理由なのか短期間のうちに随分名称を変えて、結局最後は頭初の名称に戻すという事をしている。
6項
イオンドの州への事業登録の年次更新の問題だが、「IOND has failed to file its annual corporate report」となっており、州から事業登録の更新を拒否されているのでなく、イオンド自身が事業報告書を提出していないのが原因ということになる。
イオンド自ら事業登録を放棄する理由は無いだろうから、事業報告書を出せない理由があったのだろう。
事業内容を明らかにすると、今までの裁判の過程での抗弁事由と「ツジツマが合わなくなる」との理由があったのだろうか?
2006年11月以降は、ホノルルのレンタル事務所も現地従業員も無かったというから、現地従業員数「0」では自ら州法違反を申告するようなものであったろうか?
尤も、会社が「住所不定」では、さすがに申告は出来なかったか。
11項
ハワイと日本のIOND Universityは同一の運営体と見做している。
これはイオンド自身が、「本部があるのは東京都杉並区です。」と反論しているくらいだから一体のものだろう。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%AA%A5%F3%A5%C9%C2%E7%B3%D8
15項から25項
州は2001年にイオンドの存在に気付き、確認の為の基本的質問書の送付などをその時行なっている。
イオンドの当時の法律顧問であったDonald Hidani弁護士は、「2002年7月1日までに州法に完全に遵守する」意図である旨返答している。
その後、調査はイオンドは法的問題点を十分理解しているものと解して2002年4月にいったん終了したようだが、イオンドはこの時、州法を遵守した「真っ当な教育事業」に舵を切るチャンスを一度与えられていたことになる。
ハナから「学位商法で荒稼ぎ」の積りであったろうから、イオンドには「馬の耳に念仏」であったろうが。
Donald Hidaniと言う弁護士は日本語が出来るそうだから(http://www.courts.state.hi.us/page_server/Attorneys/Bilingual/4F7F4545C9064B68EBAF799515.html)、意思の疎通に問題は無かったろうが、その後弁護士を替え、更にまた替えで、今のRobert Kawamuraは3人目の弁護士ということになる。
短期間にこれだけ弁護士が替わるというのは、問題のあるクライエントだということを示唆している。
26項
ハワイでのイオンドの雇用人「Claudette Kanae」と「Arnold Garcia」は2008年2月11日に州に召喚されて聴取されているのでその時の情報なのだろうが、Kanaeというのは元バーテンダーで、Garciaは彼女のボーイフレンドという関係だという。
大学事務の経験など勿論皆無で、”仕事”というのも偶にメールを日本に転送するだけ。
イオンドはハワイに於いて大学教育事業を行なう意思は全く無かった証左となる。
Kanaeを雇ったのは中野幾雄という。
27項
州法に「学生が25人以上」の規定があるので、これを集めるのにKanaeの親族友人の名前を集めている。
25名を超えた分についてはコミッションを支払う話もKanaeにしていたという。
どんな”大学生”達だったのかチョット気になるが、”学生”への講義とかレポートとかいったものも一切無く、ハワイ校というのは、「大学」も「学生」も事実上存在していない。
51項、55項、65項b
ホノルルの貸し事務所の”IOND University-ハワイ校”も、賃料不払いにより2006年11月で賃貸が切れているという。
現地雇用人も2006年11月以降雇用が無い状態なのだという。
「チョと都合の悪い質問」だったろうか、いつもの如く消されて仕舞っているが、”学歴論争掲示板”(http://www.iond-univ.org/bbs/bbs.cgi)と称する、「イオンド自作自演による一人芝居で進行する板」に下記の書き込みがあった。
「
No:130
質問
投稿者:waiwai
投稿日:2008/07/15(Tue) 01:08:59
投稿文:
中野幾雄先生はハワイの裁判所に出向いて証言をされるのでしょうか。
あと、ハワイ事務所が賃料未払いで閉鎖されていて現地の電話・Faxが通じないって本当ですか?
」
試しに、”イオンド大学ハワイ校”の電話(808-926-9732)にかけてみたのだが、なるほど「おかけになった電話番号はもう使われておりません」と言う電話局のレコーデングが流れるだけであった(7月16日水曜 09:34ーハワイ時間)。
ハワイ州の消費者保護局(OCP)はなかなかよい仕事をしているようだ。
今回日本語訳をわざわざ掲示したのは、「米国ハワイ州の大学である」と詐称するイオンドの実態は、日本のディプロマミルであり、日本人をターゲットに学位商法を行なっている業者なので、引っ掛からぬよう注意を喚起するとともに、日本の行政機関へ、学位商法問題への対応を促しているようにも思える。