Bandoalphaのざっ記ー学位商法問題

主として米国発の真正でない学位や大学などの、所謂「ディプロマ・ミル」、「ディグリー・ミル」の問題を取り上げています。 当ブログ記載事項の著作権は著作者に帰属します。無断での引用は、法の定めるところに則り、各人の責任において御自由にされて下さい。 御意見などございましたらこちらへ。 Bandoalpha@msn.com  Toshi Hino/檜野俊弘

2009年01月

平和神軍観察会高裁判決

「グロービートジャパン(らあめん花月)/平和神軍観察会事件」の高裁判決が1月30日にあったという。

一審の「無罪」原判決を覆し、求刑通り罰金30万円を課すというものであり、検察当局の御威光はここに保たれたというところだろうか。

問題となった「平和神軍観察会」というサイトの当時の記述も消えており、判決についても判決文そのものを見れる環境にないから、ニュースや弁護人ブログからだが;

「名誉棄損:ネットに中傷文 無罪破棄し罰金命令 東京高裁

2009年1月30日 22時04分 更新:1月31日 0時42分

 ラーメンチェーン経営会社を中傷する文章をインターネットのホームページ(HP)に掲載したとして、名誉棄損罪に問われた会社員、橋爪研吾被告(37)の控訴審判決で、東京高裁は30日、1審の無罪判決を破棄し、求刑通り罰金30万円を言い渡した。ネット上の書き込みで同罪が成立する要件について、1審は「マスコミ報道や出版の場合より限定すべきだ」と判断したが、長岡哲次裁判長は「ネットに限って基準を変えるべきでない」と覆した。

 橋爪被告は02年10~11月、HPに「経営会社はカルト団体が母体」などと記載したとして在宅起訴された。1審・東京地裁は08年2月に「利用者が互いに反論でき、情報の信頼性も低いと受け止められている」などとネットの特性を挙げ「内容が真実でないと知っていたか、水準を満たす調査をしなかった場合に限って名誉棄損罪が成立する」との新基準を示した。

 これに対し、2審は「ネット情報が不特定多数に閲覧されることを考えると、被害は深刻になり得る」と指摘。ネットに限って名誉棄損罪の成立要件を限定するのは「被害者保護に欠け、適当ではない」と結論付けた。

 判決後、橋爪被告は「やれるだけの調査をしたのに刑事罰を科せられては、個人の表現が萎縮(いしゅく)してしまう。問題企業や団体をサイトで告発している個人が片っ端から犯罪者にされてしまうのか」と話し、上告の意向を示した。東京高検の渡辺恵一次席検事は「適正、妥当な判決」とのコメントを出した。【伊藤一郎】」

http://mainichi.jp/select/today/news/20090131k0000m040127000c.html

「ネット中傷「反論できると限らず」、会社員に逆転有罪判決

 自分が開設したインターネットのホームページ(HP)で、外食店の経営会社を「カルト集団」などと中傷したとして、名誉棄損罪に問われた東京都大田区の会社員橋爪研吾被告(37)の控訴審判決が30日、東京高裁であった。

 長岡哲次裁判長は、「インターネットの個人利用者が書き込んだ情報に限り、名誉棄損罪の適用を緩めるのは、被害者保護の点で相当ではない」と述べ、無罪とした1審・東京地裁判決を破棄し、検察側の求刑通り、罰金30万円を言い渡した。

 1審判決は、個人がネット上に掲載した情報について、「信頼性は低いと受け止められており、被害者の反論も容易」として、〈1〉わざとウソの情報を発信した〈2〉個人でもできる調査も行わずにウソの情報を発信した――場合にのみ名誉棄損が成立するという新たな基準を提示。橋爪被告が書き込んだ内容について、「事実ではないが、ネットの個人利用者に要求される程度の調査は行っている」と述べ、名誉棄損には当たらないと認定した。

 これに対し、控訴審判決は、「ネット上のすべての情報を知ることはできず、書かれた側が反論できるとは限らない。見る側も、個人の発信する情報が一律に信用性が低いという前提で閲覧するわけではない」と指摘。個人のネット利用者に限って名誉棄損罪が成立するハードルを高くすることは認められないとした。

(2009年1月30日21時29分 読売新聞)」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090130-OYT1T00896.htm

ちなみに今回問題となっている刑法230条での名誉毀損罪とは

「(名誉毀損)

第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」

との規定があり、特例条項として、

「(公共の利害に関する場合の特例)

第230条の2 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」

との「真実性の証明による免責」が認められる条項が付く。

これは刑法自体が明治四十年(1907年)制定のものであり、昭和22年の改正で「日本国憲法第21条の保障する表現の自由と人の名誉権の保護との調整を図るため設けられた規定である。」という。

特例条項部分の解釈については、

「真実性の証明の法的性質については、処罰阻却事由説と違法性阻却事由説との対立がある。処罰阻却事由説は、名誉毀損行為が行われれば犯罪が成立することを前提に、ただ、事実の公共性、目的の公益性、真実性の証明の三要件を満たした場合には、処罰がなされないだけであると解している。

これに対し違法性阻却事由説は、表現の自由の保障の観点からも、230条の2の要件を満たす場合には、行為自体が違法性を欠くと解しているが、そもそも違法性の有無が訴訟法上の証明の巧拙によって左右されることは妥当でないという批判がある。

両説の対立は、真実性の証明に失敗した場合に鮮明になる。すなわち、処罰阻却事由説からは、真実性の証明に失敗した以上いかなる場合でも処罰要件が満たされると考えられるが、違法性阻却事由説からは、真実性の錯誤が相当な理由に基く場合、犯罪が成立しない余地があると考えられる。

判例は当初、被告人の摘示した事実につき真実であることの証明がない以上、被告人において真実であると誤信していたとしても故意を阻却しないとしていたが、後に大法廷判決で判例を変更し、真実性を証明できなかった場合でも、この趣旨から、確実な資料・根拠に基づいて事実を真実と誤信した場合には故意を欠くため処罰されないとした(最大判昭和44年6月25日刑集23巻7号975頁)。すなわち、現在の判例は違法性阻却事由説であると解される。」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E8%AA%89%E6%AF%80%E6%90%8D%E7%BD%AA

法解釈であるから変わる可能性はあるのだろうが、

@公益性

@公益目的

@真実性

@相当性

が揃っていれば、名誉毀損罪は”免責”されるというところだろうか。

被告人弁護人である山口弁護士のブログでは当判決の様子がもう少し詳細である。

「【控訴審判決の主文】

原判決を破棄する。

被告人を罰金30万円に処する。

その罰金を完納することが出来ないときは、金5000円を1日に換算した期間労役場に留置する。

原審の訴訟費用は被告人の負担とする。

【控訴審判決の要旨】

(原判決の内容の紹介)

(検察官の論旨の概要)

(弁護人の主張の概要)

(裁判所の判断)

 <公共の利害に関する事実について>

 ⇒ 認められる(当然の前提という前提のようで特に論点としての言及なし)。

 <公共の利益を図る目的>

 ⇒ 原判決が公共の利益を図る目的は認めた論旨は是認できる。

 ⇒ 検察官の反論を排斥した。

 ⇒ 表現方法に一部問題ありと指摘(お笑い電波集団、センズリ砲、最悪最弱のチキン集団、花月不食運動など)するも、それ自体が名誉毀損にならない限りは、許容されるべき。

 <真実性>

 ⇒ 人・金・物の三者と金の流れの観点から、グロービート・ジャパンと平和神軍が一体かどうかが真実性立証対象であり、一体とまでは言えないという原審判決の論旨を肯定

 ⇒ 一体性についての判断については法廷において言及されず(判決文を受け取った後に精査するしかない)。

 ⇒ 一体性の判断対象は、グロービート・ジャパンと平和神軍の間に「ずぶずぶ」の関係があるかどうかではない。

 <相当性>

 ⇒ 相当性は否定

 <第一審判決が摘示した新たな判断基準について>

 ⇒ インターネット上の表現行為に関する刑法230条の2の新たな解釈は是認することが出来ない。

 ⇒ 最高裁判決の基準を緩和することは認められない。

  {被害者保護に欠ける}

  ○ 被害者にインターネット上の名誉毀損表現の存在を認識するように要求することは出来ない

  ○ 被害者が反論することにより、第三者に被害者の名誉を毀損する表現の存在を知らせてしまう

  ○ 反論を躊躇する被害者もいる

  ○ インターネット上の名誉毀損の被害は深刻になりやすい

  {情報の信用性について}

  ○ インターネット上の情報の信頼性が低いとは限らない

 <量刑の理由>

⇒ マイナス要素

 ● 模倣性が強い

⇒ プラス要素

 ○ 前科前歴なし

 ○ 損害賠償は支払っている

【第一審判決】

2008年2月29日午後1時半 東京地方裁判所428号法廷において言い渡し

主文:被告人は無罪」

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/

紀藤弁護士のブログは問題を纏めている。

「これは速報です-即刻上告です。

正直、今回の判決には驚きました。

インターネット時代の表現の自由の在り方と、一審での22回にもわたる審理をまったく無視した判決です。

あまりにも従来基準の旧態然とした判決です。

ただし高裁の判決でも、公益性と公益目的が認められました。高裁では、真実性と相当性が認められなかっただけです。

つまり今回の事件は、中傷サイトに関する判決ではありません。

公益性と公益目的が認められる表現である以上、国民の知る権利に奉仕する表現と言えますから、通常のマスコミをめぐる名誉棄損事件と同様の事件です。

このことは重要です。

真実性と相当性の判断、すなわち表現の自由の限界が争われた事件です。

そして今回の判決の基準では、

1 市民にマスコミと同じような確実な証拠を要求するもので、不可能を強いるものです。

2 今回の判決を前提とすると、市民による企業告発サイトの類は、名誉棄損罪に問われるおそれがあり、市民の自己検閲により、表現の自由への委縮効果が懸念されます。

3 それはインターネット上の市民の表現に対して壊滅的な打撃を与える可能性があります。

このような事態はありえない未来ですので、最高裁の判断を仰ぎたいと思います。

最高裁の英断を期待します。」

http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/

新聞社などの報道機関であれば、一記者の書いたものであっても、経験豊かな上司が目を通すであろうし、報道機関としての長年のノウハウの蓄積もあるであろう、法的リスクが予想されるクリティカルなものであれば社の顧問弁護士に相談も出来るだろう。

そうゆう組織としての力が企業であれば有るわけだが、個人ブログの場合は当たり前だが一人の個人でしかない。

出来る事には自ずと限界があり、表現についても個人差(個性)があることであり、「言葉は生き物」であるからその時の社会通念のような事もあるだろう。

個人ブログが社会問題を俎上に載せるような場合には、一部の表現などを問題視されて”恫喝訴訟”や”口封じ告訴”の対象になる「隙」はあり得るだろう。

言論・表現の自由というのは人間が本来持っているものであるとして、記述の真実性のみが問題になるであろう米国などとは、些か異なる印象を刑法条文からは受けるのだが、「言論・表現の自由の最大限の保障」が社会の発展の基盤であるとの認識は現代では日米共に変わらないところだろう。

些か回りくどく時に混乱の極みであるような、自由な言論・表現を通してこそ社会の真の進歩があるのだとの価値観は同じであろう。

それにしても、裁判というのは時間のかかるものである。

今回の件も、民事提訴が2003年2月10日とかで、2005年にこれは確定。刑事告訴は、2004年12月28日からとかで、これはこの先さらに続くのであろう。

http://es.geocities.com/dempauyo/

額に汗してその日その日を一家で何とか凌いでいるような庶民などでは、経済的にも時間的にもなかなか耐え得るところではないだろう。

経済規模も大きく訴訟費用も経費処理出来る企業組織体のほうが、遥かに優位である。

訴訟や告訴の成功例があれば猶の事、「訴訟するぞ・告訴するぞ」と言うのが日本では十分”口封じの脅かし”になり得る。

裁判沙汰になることを懸念すれば、個人のブログでリスクのある社会問題を俎上に載せることは多くの人は躊躇せざるを得なくなるだろう。

故意による根拠の無い虚偽捏造話というのでは論外だが、「民下々は昼飯の話題でも書いていればそれで良い」とでもゆうような閉塞感のある社会からは国家の建設的な進歩は望めまい。

守るべきものは何か?

と言うことであり、今回上告するのは当然であろう。

 迎春

昨年は大きな前進をみた一年であった。

日本での、”Ph.D.ーイオンド大学博士”と言ったニセ学位や、”イオンド大学名誉博士””イオンド大学教授”などと言ったニセ称号を販売する学位商法の大手であるイオンド(IOND University-杉並区高円寺南)が、米国ハワイ州ホノルルに登記していた現地法人IOND University(A Hawaii corporation-現地には実在しない)がハワイ州当局より告訴されていた裁判の判決が下され、「IOND University」と称するものは、「米国ハワイ州における高等教育機関ではない」旨が明確に言い渡され、計$22,500の制裁が課されている。

イオンドと言うのは、”米国ハワイ州の大学の学位”を騙って高円寺南の雑居ビル(花月第一ビル4F&5F)から営業していたわけである。

文部科学省の調査をはじめ、週刊誌、新聞等での報道でも明らかなところだが、こうゆうニセ学位(文科省言うところの、真正な学位と紛らわしい呼称)が一部の針灸師やマッサージ師といった一般社会のみならず、日本の大学の中にまで浸透していたのは驚きであった。

ニセ学位の発祥は学位というものが始まった頃にまで遡るとか聞くが、ニセが出回ると言う事は本物にそれだけの価値があると言う証左でもあり、これからも無くならないのだろうが、それはやはり「裏社会」の世界の話であって、正規の大学で白昼堂々ニセ学位が闊歩するというのでは、日本の高等教育・最高学府・教授という日本の教職の最高位の名が廃るというものであろう。

イオンドと言うのはなかなかに攻撃的であった。

対抗する者へは謂われの無い人格攻撃をはじめ、訴訟の脅しや、勤務先、関係先を巻き込んでの恫喝を執拗に繰り返す危険な手合いであるが、静岡県立大学の小島茂教授のような、自らの身命を賭して学位商法浸透の危険性の警鐘を鳴らし続け、糾弾を続けた勇気と、イオンドというものの実体を早くから見抜き、毅然として対応した大学関係者はじめ多くの方々の有形無形の良識の声が、遂にはイオンドを屈服せしめたということなのだろう。

イオンドはまだ無くなったわけではない。

イオンドによればハワイ校も単に”休校中”とのことである。イオンドの創設者でありオーナーである、ニセ学位&称号の販売ストラクチャーの”設計”に深く関わっていたであろう黒須英治(ペンネーム中杉弘)も反省の色も無い。

ハワイ州当局からは、このイオンドという「Made in Japan」のトラブル者については日本側に報告がされているようである。

州当局のウェブ・サイトでも、イオンドの件に関してはわざわざ日本語訳を併記し、日本へのアピールとしている。

http://hawaii.gov/dcca/areas/ocp/udgi/lawsuits/ionduniversity/

学位商法は高等教育の学位等に関する問題であり、やはり文部科学省が関係してくることと思われるが、米国の教育省(ED:Department of Education)は、そのウェブ・サイトで「Diploma Mills and Accreditation」に一章を設けて多くの資料リンク先とともに解り易く解説をし、一般国民(学生)が被害を受けぬようこの問題への警鐘を鳴らしている

http://www.ed.gov/students/prep/college/diplomamills/index.html

日米の制度の違いということはあるだろうが、日本の文科省もこの問題についてやるべき事、やれる事は多いように思う。

官民、人其々の立場で今年もやるべき事は多い。

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