Bandoalphaのざっ記ー学位商法問題

主として米国発の真正でない学位や大学などの、所謂「ディプロマ・ミル」、「ディグリー・ミル」の問題を取り上げています。 当ブログ記載事項の著作権は著作者に帰属します。無断での引用は、法の定めるところに則り、各人の責任において御自由にされて下さい。 御意見などございましたらこちらへ。 Bandoalpha@msn.com  Toshi Hino/檜野俊弘

歳月

石川県志賀町小泉町長の、「米国ウッドジュニアカレッジ卒業」(町長プロフィールによる)という学歴の真偽、「本当に卒業しているのか?」、については不可解なまま検察(金沢地方検察庁)の裁定が下されて、その後は何の情報も聞こえては来ないようである。

「真実なんかどうでもいいんだよ。終了終了」、といったところであろうか。

思えばこの件は、昨夏亡くなられた静岡県立大学の小島茂教授(Wiki)のほうに、町長の公示学歴に疑問を持つ志賀町有志の方が2010年夏頃に訪ねて来られ、小島教授より当方にも話があって色々調べ始めたりしたものであった。

いまやこの件は、小島教授が私に残していった遺品といった感じになってしまったろうか。

小島教授とは、2007年頃より所謂ディプロマミル・学位商法問題について種々交信していただき、私自身随分勉強になったものである。

かたやUCバークレイ(Wiki)で社会学博士号を取られた俊英の大学教授であり、当方は受験勉強の3日程もしたことの無い、学問の世界とは無縁の、飲んだくれおっさんの瘋癲であるから、教養も志操もまるで違うわけだが、分け隔てなく接して下さる方であった。

意見が違うことも勿論あり、相手のお立場も考えずの軽忽な物言いもするので、随分と脱力されたことも多かったことであろうし、或いはお命を縮めることもあったかと反省するのだが、これも浮世の出会いの芥と今は笑って許して戴くほかない。

小島教授と交信が始まった頃は、日本の大学教授の内にも怪しげな所謂ニセ学位を使う者が横行していた時代であった。

お互い共通のものがあったとすれば、
「日本は平気でウソを吐き他人を騙すことが当たり前の、三流の国家社会になってゆくのだろうか?
至誠や正直さを人生の大切なものとして生きた嘗ての日本人というのは消滅し、仕立ての良い背広、高級ブランド品を身に付け、高級車を乗り回してはいるが、中身は洋服を着た烏や鼠が、金よ銭よと鼻孔を膨らませて彷徨くばかり。
地道に努力を重ねる正直な者が指を差されて嘲られるような、そんな下衆の国家社会になってしまうのだろうか?」
という、漠然とした不安感と危機意識であったろうか。


☆小島茂教授の学位商法問題3部作。
遺作はさしずめ学位商法3兄弟といったところだが、狡猾なディプロマミル相手の小島教授の闘いに、多少なりとも参加・支援できたことは愉快な思い出である。
”末弟”となって終った「大学偽装」は、発刊前より交信戴いたものなので特に思い出深い。

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池田憲彦元拓殖大学教授による追悼譜
小島茂教授を弔うの譜/かかる知識(arts)人ありき



検察裁定の不可解

Seesaaブログで2012年9月30日記載のもの。

☆☆☆
小泉勝志賀町長の学歴詐称疑惑(公選法違反容疑)での告発を町民より受けた金沢地方検察庁は、これを「不起訴」処分と裁定したのは新聞報道にあったところだが、検察より告発人への処分通知(刑訴法260条による)というのは書式(「処分告知書」 様式第96号)による、「処分区分: 不起訴」とあるだけの簡潔なもののようである。(参考:これは他の事例だが、様式によるものであるからいずれでも同じだろう

不起訴とした理由について、告発人はその理由を問い合わせることが出来る(刑訴法261条)とされており、裁定理由については、文書で請求すれば、これも書式(「不起訴処分理由告知書」 様式第114号)により回答されるが、「不起訴処分の理由: 嫌疑なし」とだけのこれも至って簡潔なもののようである。(参考:同じく他の事例)(電話には応じないという。これらの手続・回答は、競争社会で顧客に対応する民間の感覚よりすれば驚天だが、要は聞いて来るなということかw)

なぜ「嫌疑なし」と判断したのか等それ以上の理由説明は、”その必要なし”と検察庁では考えているようである。(注:起訴便宜主義Wikipedia
告発人(稲岡保男氏)が金沢地検に裁決理由の説明を求めても、説明には応じてくれないのだと言う。

不起訴裁定の区分については法務省訓令・事件事務規定で、「被疑者死亡」から「起訴猶予」まで20項目が細かく区分けされている。
少し長くなるが引用しておく。

◆◆◆
2 不起訴裁定の主文は,次の各号に掲げる区分による。
 (1) 被疑者死亡 被疑者が死亡したとき。
 (2) 法人等消滅 被疑者である法人又は処罰の対象となるべき団体等が消滅したとき。
 (3) 裁判権なし 被疑事件が我が国の裁判管轄に属しないとき。
 (4) 第1次裁判権なし・不行使 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定,日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書若しくは日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づき,我が国に第1次裁判権がないとき,又は前3号若しくは次号から第20号までのいずれかに該当する場合を除き我が国が第1次裁判権を行使しないとき(第1次裁判権を放棄したときを含む。)。
 (5) 親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し 親告罪又は告発若しくは請求をまつて論ずべき罪につき,告訴,告発若しくは請求がなかつたとき,無効であつたとき又は取り消されたとき。
 (6) 通告欠如 道路交通法第130条の規定により公訴を提起することができないとき又は同条の規定により家庭裁判所の審判に付することができないとき。
 (7) 反則金納付済み 道路交通法第128条第2項の規定により公訴を提起することができないとき又は同項(第130条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定により家庭裁判所の審判に付することができないとき。
 (8) 確定判決あり 同一事実につき既に既判力のある判決があるとき。
 (9) 保護処分済み 同一事実につき既に少年法第24条第1項の保護処分がなされているとき。
 (10) 起訴済み 同一事実につき既に公訴が提起されているとき(公訴の取消しがなされている場合を含む。)。ただし,第8号に該当する場合を除く。
 (11) 刑の廃止 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
 (12) 大赦 被疑事実が大赦に係る罪であるとき。
 (13) 時効完成 公訴の時効が完成したとき。
 (14) 刑事未成年 被疑者が犯罪時14歳に満たないとき。
 (15) 心神喪失 被疑者が犯罪時心神喪失であつたとき。
 (16) 罪とならず 被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき又は犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確なとき。ただし,前2号に該当する場合を除く。
 (17) 嫌疑なし 被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。
 (18) 嫌疑不十分 被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。
 (19) 刑の免除 被疑事実が明白な場合において,法律上刑が免除されるべきとき。
 (20) 起訴猶予 被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。
◆◆◆ 「事件事務規程(法務省訓令」 最終改正 平成24年6月14日法務省刑総訓第4号

今回の裁定理由は「嫌疑なし」であるから(17)番であり、担当検察官は、学歴詐称の事実が無いことが明白、学歴を疑問とする証拠は無いものと判断したことになる。
「卒業したことは事実で、学位記(卒業証書)も真正なものである。」と判断したことになろう。

卒業の有無や学位記の真偽の最終的判断の根拠となる成績証明書を、担当検察官がどのように理解したのかは、閉ざされた扉の奥のことであり不明であるが、成績証明書の内容の検証については、ここで述べてきた通りであり、ウッド短大はじめ当該地域の大学認定団体であるSACSCOC、ウッド短大成績証明書の管理者であるミルサップス大学(Millsaps College)、ウッド短大のかつての職員など、この件で私が事実確認のためコンタクトした教育関係者では、大いに疑問である(Significant questions exist as to whether this person earned a legitimate degree-SACSCOC)とする人はいても、成績証明書から卒業したことは事実で学位記は真正なものである、と理解する人は私の知る限り皆無である。

答えが二つあるという問題ではないので、同じ事実を眺めて理解が180度違うというのは、米国と北朝鮮辺りであれば有り得ようが、情報が開かれた自由と民主主義の文明国間に於いてはあまり聞かない話である。

”当検察裁定については、告発人の不服申立により金沢検察審査会においてもその当否に関し、慎重に精査、検討が為され、その結果、検察官がなした不起訴裁定(嫌疑なし)は相当である、との同審査会議決がされているところである。 法令に定められた手続きは全てしっかりと為されており、法的に何らの瑕疵も無い”となるのだろうが、米国では疑問とされる米国短大の卒業や学位記が、日本では卒業は事実で学位記も真正なものと裁定されるというのは、さながら漫才でも眺めているようであり、甚だ興味深い。

☆☆☆

学位記のなぞ

Seesaaブログで2012年7月30日記載のもの。

☆☆☆
「卒業したことは間違いない」
とするためには、教育記録である成績証明書上に、その教育機関により定められた学位取得・卒業の要件を満たす履修記録が確認されなければならないわけだが、小泉町長の米国留学先「ウッド短期大学(Wood Jr. College)」の本人成績証明書には、学位取得・卒業とする要件を満たすものは、残念乍ら見当たら無いようである。

或いは、ウッド短期大学以外の何所かの短大や大学なりで、単位を取得していたという事でもあれば(ウッド短大へは所謂編入や転学となる)、「応用美術(Applied Arts)」という学位は兎も角としても、短期大学士取得に十分で卒業の要件も満たす可能性も考えられるわけだが、そのような説明も聞かないようである。

「卒業証書は、間違いなく、卒業式の日にウッドジュニアカレッジからもらったものである。」
と、小泉町長は検察へ供述しているとのことだが、だとすれば、この学位記(卒業証書)は、ウッド短大が発行したものということになるだろうか。

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学位に相応しい教育事実が無いのに、学位記などを発行(販売)するのは、ディプロマ・ミル(ディグリー・ミル)と呼ばれる学位商法の業者なわけだが、認定校が発行した学位記だからといって、真正な学位とは限らない場合も、稀にありえる。

今年2月のニュースだが、ノース・ダコタ州の州立大学(Dickinson State University)が、中国人留学生に対して、学位要件を満たす履修など無いにも拘らず、大量に学位を発行していたという、”州立大学によるディプロマ・ミル”という、ショッキングな出来事があった。
参考:
Degrees(Without the Work) for Foreighn Student at a North Dakota University -New York Times

Dickinson State - alleged diploma mill for Chinese - AP

同大は入学者の減少への対策として、近年米国留学生が急増している中国人留学生の受け入れ積極策をとり、中国でエージェントなどを雇い、留学生の獲得に積極的だったようだが、その過程で「あってはならない」一線を越えてしまったというところのようである。

州大学局(North Dakota University System)の監査により不正が発覚して、学部長(Dean of Educatin, Business and Applied Science)が失踪し、自殺体で発見されるというショッキングな出来事もあったようだが(Youtube)、新任学長が所謂内部告発により、州大学局へ監査を要求し、問題が明るみにされるという、自浄作用があったことがせめてもの救いだろうか。

参考:
Internal Review Report - North Dakota University System

規模は違うが、ウッド短大も入学者の減少には頭を痛めていたことだろうし、些か状況が似たところはあったろうか。

若し、ウッド短大がこの学位記を発行したとすれば、「Associate of Applied Arts(短期大学士・応用美術)」という短大要覧には存在していない学位名をわざわざ使ったのは、他の真正な学位と区別をつける為だったのだろうか?

正規の短期大学士に”Apply”するとの意味合いで(短期大学士を応用スルデアルw)、「Arts」や「Applied Science」と語感の似ているところを使ったという事なのだろうか?

卒業式の日に学位記をもらったとすれば、本人も、左右の学友のと比べて、自分の学位記は学位名が違っていたのだろうから、これは、周りは皆”折り詰め弁当”が配られたのに、自分にだけは”おにぎり”が来たようなものだから、やはり「何で?」と思うだろうか。

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